介護保険制度はその創設から19年が経ち、介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着、発展してきている。近い将来、2025年には、団塊の世代が75歳以上となるなど、介護サービス需要は増加・多様化していく。更にその先の2040年には、現役世代が急減する未来が待っている。
2021年度からの第8期介護保険事業計画期間においては、2025年、さらにはその先の2040年を見据えて、介護が必要な状態となっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、これまで各地域で構築されてきた、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムをより一層深化、推進していく。
また、高齢者が増え、現役世代が急減する社会においては、「高齢者は支えられるもの」という観念から脱却し、高齢者が社会・地域とつながり、活躍することが、社会の活力、そして社会保障制度を維持していく上でも重要となる。介護保険制度を通じた予防・健康づくり、地域づくりの取組を進め、元気高齢者が社会・地域で活躍する環境整備を図っていく。
さらに、喫緊の課題である介護人材不足を乗り越えるとともに、将来の人的制約を見据えた介護現場づくりが必要となる。介護職員の処遇改善、若者から高齢者まで多様な人材の参入・活躍の促進、働きやすい環境の整備、介護職の魅力向上、外国人材の受入れ環境整備の取組を一層進めるとともに、ICTなども活用しながらの業務改善・生産性向上の取組を全国の介護現場で推進していく。
高齢者の増加とあわせて認知症の人の増加も見込まれる。令和元年6月には新たな国の取組方針として「認知症施策推進大綱」が策定された。また、認知症基本法案が国会に提出され、継続審議中である。「共生」と「予防」を車の両輪として、認知症バリアフリーや早期発見・早期対応、予防等の取組を進めていく。
介護保険制度の保険者である市町村、それを支援する都道府県においては、地域の実情を踏まえながら、これらの取組を進めていくこととなる。保険者機能の強化やデータ利活用の環境整備を進め、全国での取組の推進を図っていく。
介護保険制度に基づく取組は、地域づくりの中核・基盤となり得るものであり、その推進により、地域共生社会の実現につなげていく。